現在の宮古上布は年間生産反数約20反で組合員は82名(平成18年9月現在) となっている。昭和27年の2,064反をピークに生産反数は減少し続け、平成14年には10反にまで落ちた。もはや風前の灯火となって宮古上布に大きな危機感を持った行政は織物組合の再建委員会を設立、様々な提案を織物組合に示した。それに基づいて、宮古織物 事業協同組合は組織の立て直しを図り後継者育成事業の見直しに取り組み、平成16年、17年には20反の生産反数まで回復した。 又、平成12年に新規格を設け、これまでの十字絣紺上布だけでなく草木染や太い苧麻糸を使った帯地なども宮古上布に加え組合に おいて検査を実施し検査証の添付を行っている。宮古上布は分業体制で生産が行われる為、各工程での後継者育成事業の取り組みが不可 欠である。特に糸づくりに関しては従事者の高齢化が大きな問題であり若手従事者 の育成が急務となっている。組織の立て直し以降は織 物組合と行政の様々な取り組みの成果として、宮古島全体の宮古上布への関心と認識が高まり若手従事者が増え組合員も増加、各工程の 後継者の育成も行われている。 今後の課題は若手従事者の定着化と販路の拡大、従事者生活の安定化等様々あるが、最大の課題は原 材料の確保である。苧麻の栽培から糸績み、絣締め、絣締め、染め、砧打ちの全行程を宮古島で一貫して行う生産体制は維持し 宮古上布の品の保持に努めている。